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「セクシュアル・ハラスメント」とは何か?
職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(均等法11条1項)と定義されています。
セクハラは、均等法の規定により、「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」に分類されています。
「対価型セクハラ」とは、職場における性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者が解雇、配転や労働条件につき不利益を受けるものであり、他方、「環境型セクハラ」とは、職場における性的な言動により労働者の終業環境が害されるものです。
セクハラの具体例
国家公務員の服務規程である「人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)の運用について」の別紙、「セクシュアル・ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項についての指針」をご紹介します。セクハラになり得る言動として、以下のものを列挙しています。
(1)性的な内容の発言関係
ア 性的な関心、欲求に基づくもの
①スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること
②聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと
③体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などということ
④性的な経験や性生活について質問すること
⑤性的な噂を立てたり、性的なからかいの対象とすること
イ 性別により差別しようとする意識に基づくもの
①「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」
「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言すること
②「男の子」「女の子」「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」
などと人格を認めないような呼び方をすること
③性的指向や性自認をからかいやいじめの対象とすること
(2)性的な行動関係
ア 性的な関心、欲求に基づくもの
①ヌードポスター等を職場に貼ること
②雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること
③身体を執拗に眺め回すこと
④食事やデートにしつこく誘うこと
⑤性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送ること
⑥身体を不必要に接触させること
⑦浴室や更衣室をのぞき見すること
イ 性別により差別しようとする意識に基づくもの
①女性であるというだけで職場のお茶くみ、掃除、私用等を強要すること
(3)主に職場外において起こるもの
ア 性的な関心、欲求に基づくもの
①性的な関係を要求すること
イ 性別により差別しようとする意識に基づくもの
①カラオケでのデュエットを強要すること
②酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること
セクハラに関する正しい知識
❶出張先でのこと…
当社の男性社員(Y夫)が、出張中に、他の社員(男性、女性複数名)とともに、女性社員(X子)の部屋に行き、床に座って怪談などを含めて談笑していましたが、Y夫が飲みすぎて眠いといい、近くのベッドに上がりました。
ある社員は、そこがX子のベッドであったことを知っていたため、Y夫をたしなめ、ベッドから降ろさせました。
ところが、X子が不快感を覚え、職場環境が害されたとして、Y夫に損害賠償請求をしました。
セクハラとして損害賠償責任が発生しますか?
❷身体的抵抗がなかったというが…
女性社員がその職場内で20分もの間、男性上司に抱きつかれて無理矢理わいせつな行為をされたと訴えて、会社に損害賠償の支払いを求めてきていますが、この男性上司はこれを否定しています。
他の社員に確認しましたが、この女性社員が、その男性上司を振り払って逃げたり、悲鳴を上げて助けを求めるなどの行動を目撃した人がいなかったため、当社はこの女性社員の作り話ではないかと考えています。
会社には損害賠償責任が発生しますか?
❸明確な拒否のないセクハラと会社責任
当社の男性社員が、その職場内で、女性社員に対して、半ば冗談で自らの不貞相手に対する性的な事柄などを自慢していましたが、その女性社員が明白な拒否の姿勢を示すことなく話を聴いていました。当社はこのような状態を1年以上黙認していましたが、その女性社員がこのセクハラ行為を理由に当社に損害賠償請求をしてきました。
当社には、損害賠償責任が発生しますか?
❹性的誹謗中傷と会社責任
当社の男性社員が部下の女性社員と対立関係にあり、その女性の異性関係をめぐる行状や性向についての悪評を流しました。当社は、これを社員同士の個人的な対立とみて、二人で話し合うよう促しましたが、解決の道が見つからず、最終的にその女性社員が自己都合退職しました。
ところが、後日、その女性社員が退職に納得がいかないとして、当社に損害賠償請求をしてきました。
当社には、損害賠償責任が発生しますか?
❶~❹の事例
いずれの場合もセクハラ行為と認められ、使用者責任(民法715条)や職場環境配慮義務違反(労働契約法5条、民法415条)による損害賠償責任が発生する可能性が高いです。
こうしたことから会社を守るためにも注目されている「社外相談窓口」の設置